僕は「ゆゆ式」が好きだ。

突然の宣言にはなるが、僕は、「ゆゆ式」が好きで好きでたまらない。

そもそも、「ゆゆ式」が何かわからない人もいるかもしれない。

ゆゆ式って?

ゆゆ式とは、三上小又氏によるマンガ作品。月刊誌「まんがタイムきらら」にて2008年4月号より連載。現在同誌において2番目に長い連載期間を持っている。

また、2013年にはアニメ化され、2017年にはOVAも制作されている。

そして、僕の人生の柱の一つである。

…と、ゆゆ式の概要を説明したところで、ストーリーの説明に入っていこうと思う。

ゆゆ式の普通で特異なストーリー

ゆゆ式のストーリーは、大まかにいえば「日常系」である。

「日常系」といっても、誰か偉い人が定義付けしてる物でもないので、「ご注文はうさぎですか?」のようなほのぼの系の深夜アニメのみを指す人もいれば、「サザエさん」のように主婦のドタバタを描くマンガもまた「日常系」に含まれる場合もあるかもしれない。ここでは、「ご注文はうさぎですか?」や「きんいろモザイク」のような女の子たちがほのぼのした生活を送るマンガ、アニメを「日常系」とする。


この項の本題に入ろう。ゆゆ式は、櫟井唯(いちい ゆい)、日向縁(ひなた ゆかり)、野々原ゆずこ(ののはら ゆずこ)の3人の女子高生が、部員0人の「情報処理部」に入るところから始まる作品である。

他にも4人登場人物はいるものの、ここでは読者にストーリーについて理解を深めてもらいたいため紹介を後回しにする。

項のタイトルにもあるように、ゆゆ式は「普通」である。女子高生の日常を描く、という説明のように、主人公達が学校へ行ったり、唯の家でたむろしてみたり…と、本当に普通の日常を描いている。


しかし、ゆゆ式は他の日常系と一線を画している。
日常系であり、普通の女子高生の生活を描きながら、ゆゆ式が如何にして特異になれたか。
それは、「日常を極めた」からだと考えられる。
ゆゆ式を読んでもらったり、アニメを見てもらったりすればわかるのだが、ゆゆ式は女子高生の生活を描いている、というものの「運動会」や、「文化祭」などといった学校生活においてメジャーなイベントを一切描いてないのだ。
イベントの類を一切排除している事象は彼女たちの休日にも現れ、唯たちがカラオケに行く流れになったシーンにおいて、カラオケのシーンを省いているのである。

簡潔に言うと、ゆゆ式は、基本「学校の休憩時間」、「情報処理部の活動(専らパソコン見ながらおしゃべりするだけ)」、「休日の唯の家」の3シーンのみでストーリーが展開する漫画である。

(左から日向縁・野々原ゆず子・櫟井唯)

リアル性を感じるゆゆ式
ここで、先程紹介を省いた残り4人のキャラクターを紹介しよう。
唯たちとは別グループの「相川千穂(あいかわ ちほ)」「岡野佳(おかの けい)」「長谷川ふみ(はせがわ ふみ)」の3人と、情報処理部顧問の「松本頼子(まつもと よりこ)」の4人だ。

この項の「実在性」を語る上で、この4人の存在はもちろん外すことは出来ない。
まず、千穂・佳・ふみの3人と、唯・縁・ゆずこの3人のグループの関係性だ。
別グループである以上、一緒に遊んだりする描写は殆どない。しかし、教室で会えば話しかけたりかけられたりするし、時には千穂たちが情報処理部の部室に遊びに行くことだってある。
決してそれぞれで作り上げたグループの関係性に深入りせず、それでいて疎遠ではない。そんな関係が、ゆゆ式を「リアル」たらしめているのであると考える。

また、先生と生徒の関係にも、「リアル」は隠れている。
唯たち3人は高校入学後部員0人の「情報処理部」を見つけ、所属する。その時の顧問が頼子先生だ。
唯たち(といっても、主に縁とゆずこ)は先生のことを「おかーさん」と呼び、先生も満更ではない様子。
読者の中にも記憶の片隅にある方はいるのではないだろうか。
この姿は、かつて学校にいた「やたら先生と友達みたいに仲良い女子生徒」の姿そのものである。
ありそうでなさそうでありそう、ここにも「リアル」はあった。

ノーイベント・グッドライフ、という言葉がマンガの帯に使われることがある。この言葉はまさに、大きなイベントなんてなくても、何しても楽しかったあの頃を思い起こさせる言葉ではなかろうか。

ゆゆ式はそのリアルをもって、私たちに語りかけてくる。
(左:長谷川ふみ、右上側:岡野佳、右下側:相川千穂)

(松本頼子)

リアル故の色気、三上小又の技巧
先程、リアル性を中心に語ったが、それゆえに生まれるものもある。それが、「色気」である。
ゆゆ式は、先述したように女子高生の生活を描いている作品である。
つまり、年頃の女の子達の会話をリアルに描くのである。
それ故、ゆゆ式にはスパイス的に下ネタが出て来るのである。
軽いものでは「おっぱい」などがあるが、時に意外とハードな下ネタ(もちろん直接的な描写は一切ないが)が描かれている。
このように、ちょっと性に興味のある女子高生の色気を、ストーリーのみでなく、イラストからも描き出すのが作者三上小又氏だ。
漫画を読んで貰えるとわかるのだが、各話の始まりに扉絵のような1枚絵が描かれている。
時に、そこにかなり刺激的なイラストが掲載されることがある。
例えば、最新10巻には汗に濡れた千穂の下着がうっすらと透けるイラストが乗っている。
また、このように直接的ではなくとも、手の書き込みや脚の流線型に、時に読者は色気を感じてしまうのだ。それも、三上氏のイラストの良さによるものだろう。

ゆゆ式と僕の出会い
散々ここまでゆゆ式について語ったが、ここからが本題だ。
如何にしてゆゆ式と僕が出会い、ここまでの怪文を書けるようになったか。

僕がゆゆ式と出会ったのは、中学を卒業して高校に入るまでのインターバル期間の3月。ちょうど今頃の時期だ。
その時の僕は志望していた高等専門学校に不合格を叩きつけられ、精神的に参っていた。
そんな時見たのが「ゆゆ式」だった。
その時の僕は著作権だとかの倫理観がまだまだで、今でこそAmazonプライムで見られる作品をAnitubeで見ていた。

ゆゆ式のアニメが高校に入学するところから始まるので、そういった点でも当時の僕と通じるところがあった。
そして、日々を楽しそうに過ごす彼女らに、これから迎える高校生活の幻想を抱いていた。いや、抱かざるを得なかった。
先述したように、僕は志望校には行けなかった。しかも、専門的な学問を修める場所を不合格になり、どこにでもある普通科に通うことになったわけだから、勉強に期待は抱けない。ゆえに、高校生活に抱くしかなかったのだ。

現実の高校生活って、楽しくない…?
ゆゆ式に縋りながら高校に入学した僕は、ある文化部に入った。
しかし、なんて事ない事を語り合える友なんて出来なかったし、あんまり楽しくないし、そんなこんなで2ヶ月で幽霊部員になった。
漫画について語り合える友はいたものの、休日に誰かの家で遊ぶほどの仲でもなく、休日は専ら中学時代の仲間の家へ行っていたばかりだった。

エア実況、そしてBDBOX発売
Twitterのゆゆ式ファンの中に、こんな文化があった。
かつて2013年にゆゆ式が放送されていた曜日、時間になるとTwitterで一斉に実況を始めていた。つまるところ「エア実況」だ。もちろん1話ずつ進めながら。nクール目の最終話を迎えると次の週からn+1クール目の1話から実況する。
僕はそれをしていた。夜中であるため、当時持っていたiPod touchの画面でひっそり見ながら…
そんなことをしつつ、僕は1人勝手にゆゆ式ファンとしての意識を高めていた。

そして、高一の夏。重大な発表がなされた。
ゆゆ式BDBOXの発売である。
僕は早々と予約を済ませ、Amazonからの到着をいまかいまかと待ったものである。

充実してくる高校生活、離れてくアニメ
高二に上がると、僕は生徒会活動を始めた。
日々愉快な仲間と協力しながらオープンスクールや合唱コンクールなんてイベントを成功させていく僕の生活は、ゆゆ式、よりも「共鳴せよ!私立轟高校図書委員会」の方が近かったかもしれない。
そして、脱帰宅部を成功させた僕は、それから卒業まで、日々生徒会室に居座り、着実にアニメを見る生活から離れていっていた。
もちろん、アイドルマスターシンデレラガールズにはゆゆ式と同時期にハマっていたし、ガールズアンドパンツァーの4Dを見に県の端まで行ってみたり、死ぬほど漫画集めてみたり、オタク活動はしていた。しかし、確実にあの頃の僕はアニメをあまり見ていなかった。

卒業
しかし、漫画自体は結構集めていたため、脱オタではなかった。
実際に、ゆゆ式の最新刊が出れば即座に購入していたし、2017年、つまり高3にあがるかあがらないかの頃にゆゆ式OVAが発売された時は秒で予約した。
そんな僕にも卒業の日が来る。高校卒業だ。
彼女はもちろんいなかった。
かつてアニメについて語った友と写真を撮ったり、生徒会の後輩に色紙をもらったりなど、今も昨日のように思い起こされる。

進学とオタク離れ
有難いことに、大学受験は第1志望の大学から合格を頂いた僕は、晴れて大学生となった。
県外への進学、一人暮らし、そしてパリピまみれのサークルと、僕にとっては全てが刺激だった。
しかし、刺激が強すぎた。気付けば僕は、漫画も、アニメも全然見なくなっていた。
強いて言うオタク活動は、同人誌を神戸まで買いに行った事くらいだろうか。
それから1年。ゆゆ式の10巻が発売された。
実を言うと、ゆゆ式の9巻が発売されたのは2017年夏であり、2019年に発売された10巻は僕にとって大学入学後初のゆゆ式だったのだ。

やっぱり、ゆゆ式はいいぞ
久しぶりにゆゆ式に触れた。かわいい。ボケをかますゆずこ、ツッコミを直ぐに入れる唯、けらけらと可愛く笑う縁…高校に上がるときに初めて見た彼女たちの掛け合いは、まだそこに輝きを持って僕の心にあった。
僕は彼女たちの年齢を越えてしまったけれど、本を開けば、BDを再生すれば、そこには彼女たちの日常がある。それと同時に、僕の高校時代もあのころの雰囲気を保ったまま感じることが出来る…やっぱり、ゆゆ式はいいぞ。
結局、何が言いたいの?
僕がこの記事を長々と書いた理由は、ゆゆ式10巻を読んだ時に同時に買った漫画を読んだ時にはなかった感覚がどんどんと押し寄せたことに起因する。
唯たちの高校生活と自分の高校生活は全く違うはずなのに、何故か彼女たちの掛け合いを見ていると自分の高校時代を想起していた。
もちろん、ゆゆ式は人生で一番好きな漫画に即答であげることが出来るが、それ以外の要因があるはずだ、そう思って自分の心の整理ついでに記事に起こしてみた次第だ。


まとめ(最悪、ここだけ読んでもいいよ)
ゆゆ式はとてもとてもいい作品なので、全人類見てください。
黄金司祭

韻の踏み方を忘れたジョイマン高木「なななな〜なななな〜ななななたまねぎ〜」

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