【シネマンサイ】vol.2 喃語ネイティヴの「さくらん」



Amazon prime で鑑賞できる映画をライターが紹介するマンサイ初の連載、「シネマンサイ」。
その2本目を担当させていただく私、喃語ネイティヴと申します。少々お付き合いください。


突然ですが皆さん、

「花魁」

ってご存知ですか?

簡単に言えば、昔、特に江戸時代の頃、男性をもてなす存在として(ときには娼婦として)生きた女性の中で、頂点に上り詰めた一握りを指す言葉です。今まで「JIN〜仁〜」「吉原ラメント」など様々な作品で取り上げられてきた題材ですから、ご存知の方も多いかもしれません。

「遊郭」「吉原」「ありんす」「花魁道中」


などの言葉に耳覚えがありませんか?

華やかで、雅やかで、流麗で、品格があって。
けれどもその背後には計り知れぬ闇が潜む。

今回はそんな花魁の世界を描いた映画を紹介させていただきます。



「さくらん」

2007年公開 


監督:蜷川実花  
主演:土屋アンナ     楽曲:椎名林檎


(私の場合、これだけでこの映画を気に入りました)




ここからは監督・主演・楽曲を担当した人物それぞれに焦点を当てながら、作品の紹介をしていきたいと思います。




まず監督の蜷川実花。著名な写真家です。
この写真のような極彩色が蜷川実花の持ち味です。映画のポスターを見てもわかるように、作品の中でもその個性は存分に発揮されています。


映像作品において「画の美しさ」は非常に重要です。画面に映える美しさや視覚的刺激は、その作品の評価に直結します。花魁世界の華やかなイメージと蜷川実花の絢爛な色づかいが相俟って、鮮烈な印象を与えてくれる作品に仕上がっています。




次に主演の土屋アンナ。

ハスキーボイスで豪快なイメージが強い彼女。一見して雅やかで流麗な花魁との相性は良くないように思えますが、この作品を一目見ればその評価は覆ります。このキャスティングは完璧だからです。

主人公のきよ葉は、幼い頃に吉原の遊郭に身売りされ、それでも一生懸命に逞しく遊女として生きてきた。惨めでも、みっともなくても、必死にもがくきよ葉。時には遊女らしからぬこともしてしまう型破りな少女の成長劇が「さくらん」です。

この型破りな感じが、土屋アンナのイメージにぴったり当てはまるのです。





次に楽曲を担当した椎名林檎。言わずと知れたミュージシャンです。

ご存知の通りかなり奇抜な、それでいて人々の心を射抜く独特なセンスを持つ椎名林檎。彼女は度々「古き良き日本」を題材とした作品を手がけており、イメージそのまま、「さくらん」で描かれる花魁の世界を鮮やかな音楽で彩っています。


いかがでしたでしょうか。


いち映像作品として一級品であることがわかっていただけたはずです。ストーリーもさることながら、「画の美しさ」「遊郭を生き抜く等身大の少女」「和の粋を極めた音楽」といった点がこの映画の見どころだと私は思います。


灰色の生活を送っている皆様!
今週末にでも「さくらん」を見て、艶やかな世界を体験してみては?



是非、ご覧ください。
喃語ネイティヴでした。

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